京都の町屋は建築基準法を満たしていない!?
2019/06/21
こんにちは、伊勢です。
少しずつジメジメとしてきてなんとなく梅雨っぽい感じがするようなしないような6月ですねー
最近は天気がいい時は運動不足解消を兼ねて自転車で現場やお客様のところを廻っているのですが今日なんかあっつくてあっつくて汗ダクダク(´Д`)
きっと夏が終わる頃にはスリムになった姿をお見せできるかと思います(笑)
さて、今日は町家のお話を少し。
町屋の美しい街並みは、京都の歴史や伝統を感じさせてくれます。現存する町屋は、江戸時代の戦火を経て明治以降に建てられたものです。建築基準法が昭和25(1950)年に施行される前に建てられたものが多く、伝統的な木造軸組工法のため現行の建築基準法を満たしていない箇所を含む建物が少なくありません。
いわゆる柱や梁だけの軸のみで構造を保っている状態ですが実は土壁の粘り強さも建物保持にかなり貢献しています。
京都市が2016年度に京町屋の残存状況を調べた結果、調査の7年前より5600軒以上も少ないことがわかりました。
最近ニュースでも町家取壊しの報道を見るようになりましたね。。。
建物の古さから維持管理が大変である上、所有者の高齢化、少子高齢化による空き家率の上昇なども重なり、物件を取り壊すという選択をする持ち主も少なくなかったようです。
また、リフォームやリノベーションをするにも構造が特殊で間取りの変更が難しい、建築行為を行う場合は現行の建築基準法に適合させる必要があるなど、簡単に増改築や用途変更が行えない現状がありました。建築基準法に適合させるには、町屋ならではの意匠や形態を残した活用が難しくなることも考えられます。
そこで京都市は、景観や文化的に特に重要な建築物は、安全性などの維持向上を図ることを条件に、建築基準法の適合を除外する条例を制定しました。以前ご紹介した保存活用計画とは別に京町家には特例が用意されています。
◇屋根
瓦や屋根材の下地材である野地板の葺き替えは、屋根構造の部材の一部を補修するため大規模修繕にはあたらず、全面的に行うことができます。
◇垂木
棟から軒にかけて屋根版を支える垂木の部分的な修繕が可能です。全面的な改修ではなく、屋根面積の半分以下の垂木に限ります。
◇壁
土塗壁の健全化は、大規模修繕にはあたらず、遡及適用を受けずに実施することができます。また、荒壁などの塗り替えで下地の小舞竹を残しながら行う場合、壁の構造部材の一部を改修するため全面的に行うことができます。
◇階段
京町屋特有の隠し階段はとても急勾配で、居住者の高齢化に伴い緩勾配の階段の必要性が高まっています。増築を除き、現行の規定に適合する階段の取り換えは遡及適用を受けずに実施することができます。
◇柱・梁
添え柱や添え梁など、柱や梁の補強は問題なく行えます。また、通し柱も含め各階ごとに本数を数え、その半数以下の柱・梁の修繕であれば部分的な修繕と捉え、建築基準法の遡及適用を受けません。
その他、壁や軒裏、建具、格子といった外観も、防火仕様の構造を取り入れることで、伝統的な意匠での改修ができます。大規模修繕や用途変更なども、原則として建築基準法に適合させる必要はあるものの、一定の条件下であれば大規模修繕、用途変更ができる場合があります。
町屋のリフォームやリノベーションにあたり、建築基準法に適合させなければならない施工があります。
ちなみに別棟を増築する場合、
新しく建てるなら現行法に適合してねっ!
という事で原則として現行の建築基準法に適合させる必要があります。確かにそうですね。
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既存の建物と増築する建物が、構造耐力上独立する別棟である
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既存の建物と増築する建物が屋内空間で接続せず、機能上別棟である
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既存の建物と増築する建物の外観が、一般的に見て別棟である、2棟と認識できる
上記の条件をすべて満たす必要があります。
既存の建物は特に遡及適用は受けませんが、適法な箇所は増築後も適法でなければなりません。別棟の増築にあたり、防火・準防火地域以外で床面積10平米以下の増築であれば建築確認申請は不要ですが、原則として増築の際は建築確認申請や完了検査申請が必要で、場合によっては中間検査申請が必要なケースもあります。
こう見ると結構なんでもイケる!!
と思いますが建築基準法令128条の敷地内通路1.5mは除外されていません。。。
例えばひとつの敷地内に母屋と離れ等2棟以上の建物がある場合、2棟間敷地内通路幅が1.5mなければアウトなんです。そうなると頑張って保存活用計画となります。。。
いずれにしても町家改修のご計画の方いらっしゃいましたら是非一度ご相談ください。
(結局こういうオチですみません笑)
今日の一曲♬
Incognito - Lowdown feat. Mario & Chaka Khan